本論文は財団法人ディフェンス・リサーチ・センターのDRC年報2003に掲載された論文「陸上自衛隊の一般大学出身技術系幹部」です。ご批判をいただけましたら幸いです。
一般社会と同様に国防においても人は重要な要素であり、技術においても同じことが言える。
わが国では大学・高専・短大で毎年約9万人の理工系学生が卒業し、防衛大学校は約375名の陸上要員(理工学部卒相当)を輩出する。しかし陸上自衛隊における技術系幹部の約85%が防衛大学校出身者で占められており、一般大学出身者が過少である。
旧陸軍での精神重視・技術軽視に対する反省から、自衛隊発足時、技術を重視する多くの施策が実施されたが、いつの間にかその施策も骨抜きにあっている。
また、CGS(幹部高級課程)修了者重用が、防衛大学校出身技術系幹部の多くに挫折感と焦燥感を抱かせていること及び技術系幹部全般の思考硬直化がある。
この結果、装備(兵器)開発は常に安易な欧米の後追いで、わが国独自の装備開発がほとんどない。
このような状況に加え、防衛大学校出身者に比べ、一般大学理工系幹部の待遇は必ずしも十分とは言えない。
本報告では、陸上自衛隊に於ける一般大学出身技術系幹部の問題点について考察している。